2025年4月20日、レスター・シティの2024-25シーズンに終止符が打たれた。プレミアリーグ第33節、ホームのキングパワー・スタジアムでリヴァプールに0-1で敗れ、2シーズンぶり2度目のチャンピオンシップ降格が確定。この結末は、かつて奇跡の優勝を成し遂げたクラブにとって、あまりにも静かで、現実を突きつけられるような“敗北の儀式”だった。
リヴァプール戦で決まった“静かな降格”
この日のレスターは、まるで物語のクライマックスにふさわしくないほど平穏な天候のもと、淡々と試合を迎えた。ただ、トレント・アレクサンダー=アーノルドの一撃に沈み、観客席からは怒号よりもため息と諦めの空気が支配する。
降格が確定した瞬間、スタジアムには怒りの横断幕も掲げられたが、試合後には多くのサポーターがピッチに立つリヴァプールの選手たちを称える拍手を送っていた。これは、怒りや悲しみを超えた“覚悟”のようなものだったのかもしれない。
レスターはなぜここまで落ちたのか?5つの敗因分析
① 攻撃力の低迷:164分に1点しか取れない
元マンチェスター・ユナイテッドの名ストライカー、ルート・ファン・ニステルローイが監督に就任して以降、レスターはリーグ戦で164分に1点という低調な得点率を記録。これは、彼の現役時代のゴール感覚とは程遠いもので、監督としてのビジョンがチームに浸透しなかったことが如実に表れている。
② 守備崩壊:リーグ2番目の失点数
攻撃だけでなく、守備面も致命的だった。組織だったブロックもなく、個人任せの対応が多く、試合を重ねるごとに連携の崩壊が顕著に。まるで「誰も責任を取らない守備陣」とも言える内容だった。
③ フロントの迷走:サポーターも見限った“無策経営”
試合前、上空を飛行する飛行機が「King Power clueless, sack the board(無能なフロント、解任しろ)」というバナーを引いていたことが象徴的だった。ファンとの信頼関係も崩壊し、運営陣に対する不満が爆発。2年で2度の降格という結果も、“自業自得”という声すらある。
④ 監督交代のタイミングの失敗
スティーブ・クーパーの解任は、クラブが降格圏に沈む前に行われたが、後任のルート・ファン・ニステルローイが期待外れだったことから「時期尚早だった」との声も多い。仮に続投していても状況は劇的に変わったとは言い難いが、迷走の象徴として語り継がれるだろう。
⑤ プレミアの“格差問題”:昇格組3クラブが連続降格
今季はレスターだけでなく、他の昇格組もほぼなす術なく降格に追い込まれている。これは単なるクラブの問題ではなく、プレミアリーグ全体における経済格差や構造的なバランスの悪さを象徴する現象とも言える。
リヴァプールは優勝に大きく前進
一方、リヴァプールはこの勝利で勝点を伸ばし、優勝に向けて大きく前進。アーセナルが同日早い時間帯の試合で4-0と勝利していたため、やや緊張感に欠ける展開ではあったが、アレクサンダー=アーノルドの技ありゴールはやはり際立っていた。
アリソンのセーブやファン・ダイクの統率など、随所にクオリティの差を見せつける内容で、タイトルへの“王手”とも言える1勝だった。
ファンの反応:「もう覚悟はできていた」
試合後、SNSではレスター・ファンからこんな声が多く見られた。
- 「こんなに静かな降格は初めて」
- 「怒るより、ただ虚しい」
- 「また1から出直しだ」
一方、リヴァプール・ファンからは
- 「静かな試合だったけど、仕事は果たした」
- 「アーセナルとのタイトル争い、最後まで見逃せない!」
といったコメントが寄せられていた。
終わりに:2026年、レスターの再生はあるのか?
2016年、奇跡のリーグ優勝で世界を驚かせたレスター・シティ。その後、FAカップも制し、一時は“中堅から強豪へ”の階段を駆け上がる存在とされていた。
だが2025年の今、クラブは崩壊寸前。選手の流出も避けられない状況で、チャンピオンシップでの再スタートは前途多難だ。
ただ、それでもサポーターはクラブを見放さないだろう。なぜなら、どんなに低迷しても「We are Leicester」と叫ぶ声は、サッカーというスポーツの本質を体現しているからだ。
出典
The Guardian: Acquiescence trumps apocalypse as Leicester’s demise is confirmed – Jonathan Liew(2025年4月20日)
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