プレミアリーグ2024-25シーズンも終盤戦に差し掛かり、各クラブの戦術やスタイルが鮮明になってきました。本記事では、Optaの新たなデータ指標を活用して、プレミアリーグ各チームのプレースタイルを徹底分析。ボール保持率、前進速度、ハイプレス効率など、多角的な視点から今シーズンの“モダンフットボール”を解き明かします。
現代サッカーにおけるプレースタイルの多様性
「サッカーに勝つ方法は一つじゃない」
2024-25シーズンは、まさにその言葉を体現するシーズンとなっています。複雑なポジショナルプレーと直接的なカウンターアタックが混在し、どちらが勝利に直結するのかをめぐって各クラブがしのぎを削っています。
かつての覇者マンチェスター・シティは、依然として高いポゼッション率とパス数を誇るスタイルを継続。しかし、それだけでは勝ち点を積み上げられない現実が、今シーズンのプレミアリーグには表れています。
マンチェスター・シティの支配力に陰り?
- 平均パス数(オープンプレー1シークエンス):5.1本(リーグ最多)
- 平均保持時間:15.7秒(リーグ最多)
- 平均前進距離:14.4m
ペップ・グアルディオラ監督のもと、今季も高い支配力を見せるシティですが、前進効率ではアーセナルやリヴァプールとほぼ同等。時間をかけている割に、進んでいる距離は変わらないという現象が起きています。
グアルディオラ監督:「モダンフットボールはもはやポジショナルではない。」
この言葉が示すように、現在のプレミアリーグでは、速く、効率的にゴールへ迫るスタイルが再評価されているのです。
ノッティンガム・フォレストが示す“直接的サッカー”の強み
- 平均前進速度:2.1m/秒(リーグ最速)
- 平均ポゼッション率:39.6%(リーグ最少)
- 1試合あたりの成功パス数:263本(最少)
まさに“ダイレクトサッカー”の象徴ともいえるフォレスト。パス数では下位ながら、シンプルかつ速い展開でゴールに迫り、シティを上回る勝ち点を積み上げています。
また、攻撃開始地点は自陣深く(平均39.6m)ながら、しっかりと前進距離を稼ぎ、効率よくカウンターを完結させている点が特筆すべきポイントです。
チェルシーの柔軟性と戦術的ミックス
エンツォ・マレスカ監督率いるチェルシーは、「遅く複雑」なポゼッションスタイルと、「速く直接的」なアタックの両立を見せています。
- ダイレクトアタック数:81回(リーグ最多)
- ビルドアップアタック数:115回(リーグ4位)
ボールを保持して複雑に展開しつつも、自陣からの高速アタックにも対応。試合の流れに応じてスタイルを使い分ける「戦術的柔軟性」は、今後のプレミアリーグを勝ち抜くための鍵になりそうです。
ハイプレスの精度が勝敗を分ける
現代サッカーでは、プレッシングの質=攻撃の質とも言われています。Optaのデータでは、「ハイターンオーバー(敵陣40m以内でボール奪取)」に注目。
チーム | ハイターンオーバー数 | シュートに至った回数 | シュート率 |
---|---|---|---|
フォレスト | 197回 | 42回 | 21.3%(リーグ最多) |
リヴァプール | 266回 | 56回 | 21.1% |
ボーンマス | 298回 | 62回 | 20.8% |
シティ | 300回 | 41回 | 13.7% |
トッテナム | 287回 | 37回 | 12.9% |
アーセナル | 285回 | 36回 | 12.6% |
数字が示す通り、単に回数が多いだけでなく、奪ったボールをいかに早くシュートにつなげられるかが極めて重要です。
一方で、シティ、アーセナルやトッテナムのようにハイプレスの回数は多いものの、シュート率が低いクラブはその効果を最大限に活かせていないのが現状です。
まとめ:進化する“モダンフットボール”を読み解くカギは「効率性」
2024-25シーズンのプレミアリーグは、単なるボール保持やパス数ではなく、**「いかに効率よくゴールに迫るか」**が勝敗を左右するシーズンとなっています。
- 複雑なパス回しでも、結果に繋がらなければ意味がない
- シンプルで速いアタックが評価され始めている
- ハイプレスは“量”より“質”が問われる
これらの観点から見れば、これまでの常識を覆す戦い方が今後ますます注目されるでしょう。あなたが応援するクラブは、どのようなスタイルで戦っていますか?
今後も最新データをもとに、プレミアリーグの戦術トレンドを深掘りしていきます。次回の更新もお楽しみに!
出典:The Analyst|Analysing Premier League Playing Styles 2024-25
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